まだ恋愛で消耗してるの?

世界の隅っこ気味のAセクのブログです

Asexualとはなにか

 このブログを以前から知っていて読んでくださっている方にとっては今更だと思うのですが、移転前のブログ記事に書いていたようなことを改めて書いておきたいと思います。すなわち「Asexual(エーセクシャル・アセクシャル)」ってそもそも何? というお話です。

LGBT・SOGIとは

ちょっとお話が複雑になってしまいますが、Asexualについて語るには、LGBT及びSOGIの話を避けては通れないと思っています。なぜなら、Asexualとはセクシュアルマイノリティ性的少数者)と呼ばれる概念の一種であり、セクシュアルマイノリティを理解しようと考える人が一番最初にぶち当たるのが「LGBT」「SOGI」という単語だからです。

 とはいえ、あまり長々と説明してもこんがらがってしまいますし、私自身、たくさん横文字が出てくると目眩がしてしまうタイプの人間なので、最低限度の説明で済ませますが、もう知ってるよ、という人はさらりと読み飛ばしてください。

LGBTとは

 LGBTとはレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー」のそれぞれの頭文字をとった単語で、いわゆる「セクシュアルマイノリティ」と呼ばれる人たちの総称として使われています。もちろん世の中には上記の4種類以外のセクシュアリティ(=性的指向)の人もたくさんいますので、あくまで知名度が高いものを代表的に呼び表しています、と言ったところでしょうか。海外で醤油が「キッコーマン」と呼ばれているのと似たようなものだと思います。多分。

 派生としてLGBTQとかLGBTAとかいろいろありますが、要は基本となる「LGBT」に「この属性も一緒に並べておこうぜ!」という意図から新たな英字がくっついているだけの話なので、気になる方はご自分で調べていただけるとよいかと思います。

SOGIとは

LGBTが、数あるセクシュアリティの中でも代表的なものの頭文字を集めてセクシュアルマイノリティの代名詞としたものだ、ということはご理解いただけたかと思います。一方のSOGIは、複数単語の頭文字を集めたものではなく「Sexual Orientation & Gender Identity」の略です。英語が苦手な人は既に目が滑ったかと思います。安心してください、初見は私も目が滑りました。

「Sexual Orientation」とは性的指向、すなわち「どんな人を好きになるか」を指します。

「Gender Identity」とは性自認、すなわち「自分をどんな性別だと思うか」を指します。

 つまり、LGBTがある属性を持つ人達をピックアップして代表者として扱っているのに対して、SOGIとは単に「性的指向性自認」を指す言葉なので、異性愛者だろうが身体と自分の自認する性が一致していようが無関係ではないのです。普段意識することはありませんが、異性を好きになる人は「ヘテロセクシュアル」という「性的指向があります。自分の身体の性別と自分の心の性別が同じ人は「シスジェンダー」という「性自認です。

 ある「特別な人たち」の集まりとしてピックアップして括る「LGBT」よりも、誰にでも関係のある事柄としての概念を表す「SOGI」の方が、私は好きです。

 ただし、SOGIには圧倒的にLGBTに劣る点が2つあります。

 ひとつは「包括する概念が広すぎる」こと。SOGIというキーワードにはセクシュアルマイノリティ以外の人々もガッツリ含まれるので、取り立てて「セクシュアルマイノリティと呼ばれる人々について話したい時」にはあまり向かない気がします。

 もうひとつは知名度。これは言うまでもないかと思います。

 故に、本ブログでは、特別な理由がない限りは、一旦「LGBT」という単語を使っていこうと思います。「よく知らない」人にも伝わることが大事ですからね。

Asexualとは

 ようやく本題に入ることができました。長くなってすみません。「Asexualとは、LGBTと呼ばれるセクシュアリティのひとつ」です。LGBTがなんの略かは上述の通りなので、思いっきり「LGBT」という単語からはハブられている側のセクシュアリティですが、それでも「LGBTのひとつ」なのです。

 さて、AsexualはSOGIでいう「Sexual Orientation」すなわち「どんな人を好きになるか」に関わる言葉です。「Gender Identity」自分をどんな性別だと思うか、には関係がありません。

 簡単に説明してしまうと、Asexualとは、相手の性別に関わらず、他者を性愛対象として見なさないセクシュアリティです。これだけではピンと来ない方も多いかもしれませんので、もう少し突っ込んで説明しますね。

 LGBTのうち「レズビアン」は「女性として、女性を性愛対象とする」人のことです。「ゲイ」は「男性として、男性を性愛対象とする」人のこと。異性愛者はそれぞれ「男性として、女性を性愛対象とする」「女性として、男性を性愛対象とする」人を指します。

 つまり、「レズビアン」を自認する人にとっては男性は性愛の対象外ですし、「ゲイ」を自認する人にとっては女性は性愛の対象外です。異性愛者にとっては同性が性愛の対象外になります。

 同じように、Asexualは「全ての性別の人達が性愛対象外」です。だからといって別に、人間嫌いなわけでも、無機物や動物に愛情が向いているわけでもありません。よく勘違いされるので、これだけはしっかりとお伝えしておきたいなと思います。

 よく「Asexualの人の気持が想像つかない」という方と出会います。そういう時は、自分にとって性愛対象にならない性別について想像してみてください。別に性愛対象にならないからといって嫌いなわけではありませんよね? それと同じで、Asexualは別に全人類を憎んでいるとかではないので、安心してお友達になってください。よろしくおねがいします。

AromanticとAsexual

 最後にもうひとつ、おまけの話をしたいと思います。先程から繰り返し「Asexual」という単語を使っていますが、この単語と同じくらいの頻度で目にする「Aromantic」という言葉についても解説させてください。人によっては「ノンセク」という単語の方が耳馴染みがあるかもしれません。

 英語圏セクシュアリティに関する単語のラベリングは、命名規則がはっきりしています。「-sexual」というのは性愛に関する指向を示す言葉、そして「-romantic」というのは恋愛に関する指向を示す言葉です。

 日本で一般的に「Aセクです」と言うと「他人に対して恋愛感情も性愛感情も抱かない人」と見られがちですが、実はラベリング上では性愛と恋愛ははっきりと分けられていて、この単語の組み合わせで自分の性的指向をより正確に言い表すことができるんですね。

 最初は「なんだこれややこしい」と思うかもしれませんが、慣れるととっても便利です。

 たとえば「異性に対して恋愛感情は抱くけれど、性愛感情は抱かない」という場合。異性愛ヘテロなので「Heteromantic」と「Asexual」を足して「Heteromantic Asexual」となります。

 同性に対して恋愛感情は抱くけれど、性愛感情は抱かないのならば「Homoromantic Asexual」。

 反対に「誰にも恋愛感情は抱かないけれど、異性に対して性愛感情は抱く」という場合は「Aromantic Heterosexual」と言い表すことができます。

 このうち「誰にも恋愛感情を抱かないし、性愛感情も抱かない」というパターンが「Aromantic Asexual」になるわけです。海外だとよく両方略して、セットで「aro/ace」とかいう言われ方をします。この記事を書いているうつせみも、自分をここにあたる人間だと自認しています。

結局「Aセク」ってなんなんだ

 ここまで読んでなんとなく想像がついてくれた人は良いのですが「余計わけが分からなくなった、結局『Aセク』ってなんやねん」と思った人は、以下の一言だけ覚えて帰ってください。

異性愛者が同性を好きにならず、同性愛者が異性を好きにならないように、同性・異性共に好きにならない人(自分の性別は関係ない)

 以上、よろしくお願い申し上げます。